ポータブル電源発火メーカー5選!原因と対策法も解説
この記事では、ポータブル電源発火メーカー5選を紹介します。
エコフロー、ジャクリ、エイーエム、C&C、Suaokiが、過去にポータブル電源で発火の可能性からリコール対象となっているメーカーです。
大手ポータブル電源のエコフローやジャクリも含まれていますが、熱に弱い三元系リチウムイオン電池の場合で、新しいモデルは熱に強いリン酸鉄リチウムイオン電池なので発火のリスクは少なくなっています。
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ポータブル電源で発火したメーカーを消費者庁のデータから紹介
ここでは、消費者庁など信頼できるデータをもとに、ポータブル電源で発火事故があり、リコール対象となっているメーカーと機種を紹介します。
ポータブル電源で発火したメーカー@:エコフロー
2023年に、エコフローのEFDELTA(EFDELTA 1300-JP)は、発火事故によりリコール対象となっています。
リコール対象となっているのは1,000台ですが、2024年6月24日時点で回収率は1.6%です。
火災件数は、2022年に4件、2023年に2件、2024年に1件と数は少なくても、何らかの不具合により発火するリスクがあります。
EFDELTA 1300-JPは従来の三元系リチウムイオン電池採用のため発火リスクがあり売り切れですが、新モデルは熱に強いリン酸鉄リチウムイオン電池を使っているので、新しい商品なら安心して使えます。
ポータブル電源で発火したメーカーA:パオック
株式会社エイーエムが販売するパオック「TK-500」または「TK-1000」、amfun’s「AM-1000PTK」というポータブル電源で、リコールが発生しています。
ポータブル電源で発火したメーカーB:iRoom
株式会社C&Cが販売するiRoomポータブル電源「ZXK-620」では、火災事故が起きており、リコール対象となっています。
楽天やAmazonで販売は確認できなかったので、間違って買うリスクはありません。
ポータブル電源で発火したメーカーC:Suaoki
メイヤンパワー新エネルギー有限公司が販売するポータブル電源、「PS5B」はリコール対象となっています。
楽天やAmazonでの販売は確認できませんが、メルカリやヤフオク!などの個人間取引で販売されていることがあるので、注意してください。
ポータブル電源で発火したメーカーD:Jackery
ジャクリ700で、2020年に茨城で火災事故が発生しました。
リコール対象となっている情報は確認されておらず、ジャクリ700は現在販売終了となっています。
ジャクリ700は従来の三元系リチウムイオン電池採用ですが、新モデルはリン酸鉄リチウムイオン電池を使っているので、新しい商品なら安心して使えます。
ポータブル電源で発火したときのリスク
ここでは、ポータブル電源が発火したらどうなるのか、そのリスクを紹介します。
建物が燃えるリスクあり
リコール対象となっていることを知らずにポータブル電源を使うと、発火が起きて建物が燃えるリスクがあります。
問題がある機種では、不在時に発火するリスクもあるため、注意しましょう。
また、リコール対象になっていないポータブル電源でも、衝撃や熱が加わると発火する可能性があるので、問題があるときは使用しないでください。
移動先で火災が起きるリスク
ポータブル電源は持ち運べる電源なので、車内や電車内、飛行機内で発火リスクがあります。
移動の際に落とした、膨らんでいる、何かに強くぶつけたときは、持ち運ぶのを避けたほうがいいでしょう。
ポータブル電源で発火する原因とは?
大手ポータブル電源メーカーは、発火しないための安全対策を施しています。
しかし、それでもポータブル電源が発火する事故が減らないのはなぜなのか、その原因を以下で詳しく紹介します。
ポータブル電源内部で異常発熱があった
2022年に横浜市でポータブル電源が発火した29件のケースのうち、3件はポータブル電源内部に異常発熱があったことがわかっています。
異常発熱が起きる原因は、衝撃が与えられたり、夏の車内に放置するなど熱が加わったりしたためです。
しかし、ポータブル電源内部に異常発熱があったら検知する機能が設けられているメーカーでは、上記のような状況でも発火リスクを軽減できるので、必ず発火するわけではありません。
雨や水に塗れる環境だった
2022年に宮城県でポータブル電源が発火した事故では、屋外に設置されていました。
たとえ防水カバーに覆われているものや、防水対策が施されたポータブル電源本体であっても、雨や水に濡れる環境での長時間の使用は推奨されません。
ポータブル電源内部に水分が入り込むと、発熱して発火する原因になるためです。
防水タイプのポータブル電源であっても、完全な防水ではないので、ずっと屋外に設置する使い方はできません。
原因が分からないケースも
東京消防庁が発表した令和5年中の発火事故の中で、ポータブル電源の火災7件中、6件は原因が不明だとされています。
発火する直前まで特に変化がないケースが多いため、見た目の変化だけでは、ポータブル電源を安全に使えるかはわかりにくいでしょう。
見た目では分からない不具合としては、不純物の侵入や、過充電の問題が挙げられます。
ポータブル電源で発火させないための対策
ここでは、ポータブル電源の発火事故を防ぐためのコツを解説します。
安全対策が施されているポータブル電源を選んでも、使い方を間違っていると発火リスクがあがるので、以下に注意しながら使用してください。
安価なポータブル電源を買わない
第一に重要なことは、「安価なポータブル電源を買わない」ことです。
安いということは、ポータブル電源の外側に弱い素材が使われており、衝撃がバッテリーに伝わる可能性があります。
また、発火リスクが高まった状況を検知する機能がないことも多いので、Amazonで売られている無名のポータブル電源を買うのは、安さを重視する場合でもお勧めできません。
高温下に放置しない
ポータブル電源に使われているリチウムイオン電池やリン酸鉄リチウムイオン電池は、熱に弱い特徴があります。
リチウムイオン電池とリン酸鉄リチウムイオン電池が発火しやすくなる温度は、以下のとおりです。
項目 | リチウムイオン電池(NMC系など) | リン酸鉄リチウム電池(LiFePO?) |
---|---|---|
セパレーターが溶け始める温度 | 約130〜150℃ | 約130〜150℃ |
熱暴走開始温度 | 約150〜200℃ | 約250℃以上 |
発火・爆発リスクが高まる温度 | 200℃超 | 300℃近く |
熱安定性 | 低い(高エネルギー密度だが過熱に弱い) | 高い(結晶構造が安定している) |
どちらも熱には弱いのですが、リチウムイオン電池は熱暴走が始まる温度が低いので、より注意が必要です。
リチウムイオン電池でも「熱暴走が始まるのが200℃」と温度が高いからといって、真夏の車内に放置してよいわけではありません。
車内温度の目安 | リチウムイオン電池(NMC系など) | リン酸鉄リチウム電池(LiFePO?) |
---|---|---|
40℃前後 | 劣化が加速し始める | 劣化が加速し始める |
50〜55℃ | 寿命が短くなるリスク増 | 寿命が短くなるリスク増 |
60〜65℃ | 内部ガス発生・膨張リスク上昇 | 充電禁止推奨(多くのメーカー基準) |
70℃以上 | 膨張・破損リスク大、発火危険域 | 著しい劣化、危険域に接近 |
80℃近く | 熱暴走や発火の可能性 | 安定性は高いが極めて危険 |
真夏の車内のダッシュボードは80℃近くになるため、安定性が高いリン酸鉄リチウムイオン電池でも危険です。
最近は真夏に外気温が40℃に達する日もありますが、車内に30分ポータブル電源を放置しただけでも、発火リスクが高まると考えておきましょう。
ポータブル電源を落としたら使わない
ポータブル電源は外部から強い衝撃が加わると、内部が傷ついてショートし発火するリスクが高まります。
激しく落としてしまったポータブル電源は、安全のため使用しないのが一番です。
使っても問題ないか不安なときは、メーカー修理に依頼して、問題ないことを確認してもらうと安心て使えますよ。
充電中に熱くなったり膨張したりしたら使わない
ポータブル電源を買ったときと比べて、充電中に本体が熱くなるように感じられるときは、熱暴走が起きやすくなっているため、使わないほうがいいでしょう。
また、膨張しているポータブル電源も、発火の前触れの可能性があるので注意が必要です。
リコール対象の商品は使わない
ポータブル電源を購入したときにリコール対象となっていなくても、安心できません。
購入後に問題が発覚し、リコール対象となる場合があるからです。
ポータブル電源の発火事故の半数はリコール製品が原因とも言われているため、消費者庁が発表するリコール情報を定期的にチェックしましょう。
購入後にメーカーで製品登録をしておくと、リコール情報が届くため、ぜひ活用してください。
充電は目の届く場所で行う
リコール対象商品は使わないのは当然ですが、対象外の製品であっても、100%発火しないとは言い切れません。
ポータブル電源の発火事故は、充電中に起きているケースが多いため、充電しているときは目を離さないようにしてください。
ポータブル電源の充電は100%を目指さない
ポータブル電源が熱暴走する原因のひとつに、過充電が挙げられます。
防災目的でポータブル電源を持っていると、万が一のときに電源が使えないという不安から、常に100%充電をしてしまうことがあります。
しかし、100%を超える充電は、電池セル内に化学反応が起こりやすくなるので、避けるようにしましょう。
BMS(バッテリーマネジメントシステム)搭載機種なら100%以上の充電は基本的にできませんが、精密機器なので故障しないとは言えません。
停電時に冷蔵庫が稼働できるよう、ポータブル電源を繋ぎっぱなしにしても安全なモデルでも、100%大丈夫とは言えないことは覚えておいてください。
発火しないポータブル電源メーカーの選び方
誰でも、ポータブル電源を買うなら火災事故は起こしたくはありませんよね。
しかし、知識がないまま購入してしまうと、安全対策がされていないメーカーを選んでしまったり、リコール対象の商品をえらんでしまったりするかもしれません。
以下の点に注意し、選ぶようにしましょう。
- 大手メーカー製品から選ぶ(BMS搭載のもの)
- リン酸鉄リチウムイオン電池を選ぶ
- 公式から購入する
基本的に名前が知られている大手ポータブル電源メーカーを選べば、BMSで発熱を制御する機能が備わっているため安心です。
ただし、エコフローやジャクリは大手ですが、過去にリコールがあったモデルも存在しているので、「大手だから安心」だとは思わず、必ずリコール情報を確認してください。
また、火災を防ぐなら、三元系リチウムイオン電池よりも、熱に強いリン酸鉄リチウムイオン電池がいいでしょう。
最後に、公式から購入することを強くおすすめします。
公式購入だと万が一の際のサポート面で安心ですし、代理店だと長期在庫でバッテリーが劣化しているリスクがあるためです。
フリマアプリ、オークションサイトで出品されている個人間取引では、安全性を確認できないので、できれば避けたほうがいいですね。
なお、熱に強いおすすめポータブル電源メーカーは、以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧になってみてください。
ポータブル電源で発火しないおすすめメーカー
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